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カレーのヒント

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カレーのヒント 086:モノづくりのお手本

『ザ・ビートルズ:Get Back』3部作を見た。
言うまでもなく素晴らしかった。あれ、ずっとアーカイブが残るのかな。DVDが出るなら買いたい。何度も見たいと思った。
貴重な映像も音楽も何もかもがいいのだけれど、個人的にはモノづくりに挑む4人のスタンスにしびれた。改めて、自分自身に投影してみる。
カレーでいろんな活動をしている。が、僕が夢中になることはカレーの何かを作っているときが圧倒的に多いよう

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カレーのヒント 085:JAZZの定義、CURRYの定義

最近、映画館に行けていなかったけれど、久しぶりに気になっていた映画を観た。

I don’t recognize the word “jazz”, I play “John Coltrane.”
ジャズの定義はわからない、私は私自身の演奏をするだけだ。

ジョン・コルトレーン、すてき。いつか言ってみたいわ~、と思ったので、ここに書いておく。

I don’t recognize the word

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カレーのヒント 084:裏か表か

10時45分、横須賀線が逗子駅に着いた。

待ち合わせの時間は11時30分。時間に正確なタイプとは言えない僕が45分も前に到着したのは、何年も前から気になっていたカレー店にようやく行くことになっていたからだ。12時にオープンするというその店は、30分前の11時30分には並び始めておかないと、1巡目の席を逃すそうだ。だから、店の前に仲間と3人で待ち合わせすることにした。決して遅れることはできない約束

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カレーのヒント 083:オニオン・コントロール・コンセプト

JAZZの世界に「LCC」があるのなら、僕はカレーの世界に「OCC」を生み出したいと思った夜だった。

カレーの学校の授業で、ジャズサックスプレーヤーの藤原大輔さんと対談した。テーマは「JAZZとはなにか?」。僕は今年に入って音楽理論をかじりはじめた。ずっと前からやりたいと思っていたことをようやく始動したのだ。音楽の世界で音楽を理解するために整理された理論を学ぶことで、スパイスやカレーの世界の理論

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カレーのヒント 082:ハッキリ・スッキリ

来年出版予定のカレー本が3冊、動き始めている。

1冊は、やりたいことがはっきりしているが、出版が確定してはいない。
2冊目は、やりたいことが定まらないが、出版することは確定している。
3冊目は、やりたいこととは違う内容なので、仲間に預けることにした。

なかなか思うようにはいかないのが本づくりだ。
 
2冊目の編集者と打合せをした。打合せをする日程は決まっていたから、1週間ほどなんとなく頭を悩ま

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カレーのヒント 081:無言のトッピング

ブレイクスに向かう道中はいつも注文するメニューについて逡巡する。

コンビネーションというあいがけを頼むことは決まっている。サイズはMだ。問題はどのカレーをあいがけするか、である。ビーフとキーマにするか、キーマとバターチキンにするか、バターチキンとビーフにするか。要するに3種から2種を選ぶのだが、それに頭を悩ませる。店の前に到着して階段を上り始めるまでに確定させると決めている。

今日は、キーマと

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カレーのヒント 080:散歩と電車と木製ベンチ

散歩ばかりしている。

かっこよくいえば、ウォーキングと言えなくもないが、やはり散歩かな。最近聞いた話では、ウォーキングに効果的な速度は、「しゃべることはできても歌えない程度」だそうだ。あ、いや、「歌うことはできてもしゃべれない程度」だったかな。ともかく、僕の歩く速度は余裕で歌うこともしゃべることもできるくらいだから、ウォーキングではなく散歩となる。

誰かに会うと二言目には、「忙しいですか?」と

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カレーのヒント 079:石を彫るように

作り始めてからできあがるまでに
2時間かかるカレーというのはあるけれど、
2年間かかるカレーというのはないんだな。

イサム・ノグチ展を見ながら、そんなことを考えた。
石を彫る作業は気が遠くなるようなもので、完成までにかなりの時間を要する。あるイメージをもって創作を開始しても、1年経過したところで気が変わるとか、当初の計画からずれてくるとかいうこともあるだろう。

1年、2年と時間が経てば、その分

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カレーのヒント 078:「いい音楽」と「おいしいカレー」

音楽の世界には録音という手法があって羨ましい。

そのおかげで、ずいぶん昔に活躍した音楽家の音や演奏を聴くことができるからだ。でも、カレーの世界に録音に変わる手法は存在しない。

レシピは楽譜と同じだから、別の誰かが再現するという条件つきなら、音楽とカレーは共通している。でも、音楽には楽譜があって録音があるのだけれど、カレーは録音に相当するところがない。聴覚で楽しむ音楽と味覚と嗅覚で楽しむカレーと

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カレーのヒント 077:誰も気にしてはいないのだけれど

映画を観てエッセイを書く連載をしている。

https://www.pintscope.com/serial-story/jinsuke-mizuno-14/

今回で14回目になるのだけれど、ふと連載ページの下の部分を見て思ったことがある。バックナンバーがアーカイブされている部分の表記についてだ。

13嘘でも言ってくれ 「見せかけなんかじゃない」 『ペーパー・ムーン』
12誰かにもらった正解

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カレーのヒント 076:たまには、カレー“の”お話。

2010年に著書『かんたん、本格! スパイスカレー』を出したとき、
「スパイスカレーなんて言葉を使ったら誰にも届かないかもしれない」
とビクビクしながらだった。

2019年に著書『スパイスカレーを作る』を出したとき、
「スパイスカレーなんて言葉はみんなが使い始めたからもう使いたくない」
と駄々をこねた。

そして僕からは代案を出した。『スパイスでカレーを作る』にしたい。“スパイス”と“カレー”の

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カレーのヒント 075:カレーとは、JAZZである!?

ゴールデンウィークに6冊のジャズ本を読んだのは、「カレーはJAZZなんじゃないか」と思い始めたからだ。

JAZZを聴きながらJAZZ本を読んで過ごす。色々と発見があった。

僕は、自分のことをマイルス・デイビスだ、と思っていたのだけれど(バカじゃないの!?)、東京カリ~番長のリーダーと活動するときには、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーだったんだな、と思い直したし(バカじゃないの!?)、

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カレーのヒント 074:Don't play the butter note.

ハービー・ハンコックがマイルス・デイビスから受けたアドバイス。

Don't play the butter note.

決まり切った音は使うな。バターは乳脂肪分たっぷりで聴衆が喜ぶのは一目瞭然なんじゃないか。具体的に言えば、3度の音と7度の音は使わない。曲の性質を決定づける音を使わないことで、演奏に幅が出た。

そうハービー・ハンコックが語っている動画を見た。カレーも一緒だよなぁ、と思った。

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カレーのヒント 073:ビリヤニに呼ばれて

南インド料理の師匠、ヴェヌ・ゴパールさんが、赤坂に開いた『ヴェヌス』へちょくちょく顔を出している。今日も行った。店に顔を出すなり、「水野さ~ん!」と大きな声と嬉しそうな顔。僕も元気に挨拶をかえす。

席に着く間もなく、「ビリヤニ食べますか?」と言う。なぜ……。今日は、オーソドックスにミールスを食べるつもりで来たというのに。店の表に出ている看板には、「エビカレー」とあって、おいしそうだから頼んでみよ

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