カレーのヒント 082:ハッキリ・スッキリ
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カレーのヒント 082:ハッキリ・スッキリ

来年出版予定のカレー本が3冊、動き始めている。

1冊は、やりたいことがはっきりしているが、出版が確定してはいない。
2冊目は、やりたいことが定まらないが、出版することは確定している。
3冊目は、やりたいこととは違う内容なので、仲間に預けることにした。

なかなか思うようにはいかないのが本づくりだ。
 
2冊目の編集者と打合せをした。打合せをする日程は決まっていたから、1週間ほどなんとなく頭を悩ませていた。やりたいことが定まらないからだ。できることはあって、それについて時間をかけて形にすれば、内容の濃い本になることは見えている。でもその方向で動き始める気持ちになかなかなれない。何かが違う。

あれこれ頭を巡らせつつ、打合せに臨んだ。2時間ほど打合せしただろうか。なんとなく自分の頭にあることを整理しながら話していくうちに「この切り口がいいんじゃないか!」というものがまとまった。要するに2冊目の本についても「積極的に自分がやりたいこと」がはっきりしたのだ。この方向で中身を詰めよう、と打合せは終了した。
 
なんだかとってもすっきりした気分で帰宅し、ネットのニュースを見ているとザ・クロマニヨンズのインタビューがあった。甲本ヒロトさんが語っている言葉が目に留まる。
 
「誰かに何かを伝えようとしている。それだけでもう、つまらない」
 
僕が2冊目の本で悩み、踏み切れていなかったのはこれが原因だったんじゃないか。自分がカレー本を通してやれることはたくさんある。商業出版で本を生み出すのだから、読者が待ち望んでいることが何かを想像し、本を通じて読者に何を伝えたらいいのかを考えて本を作るべきだと思っていた。たくさんの本を作り続けていただけに、本づくりのキャリアが長いだけに、能力としてある程度そういうことができるだけに、そうするのがいいと思っていた。でも、なんとなくテンションが上がらず、このまま来年の本作りを進めていいのか足踏みをしていたのだ。

インタビュー内容は、そんな自分に刺さるものだった。

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―何かを伝えようとして曲を書いているわけじゃない?
「何かわからないけど、うわ~面白い!」って、それがいい。例えば、誰かに伝えたいことなら、ちゃんと顔を見てその誰かに伝えればいい。不特定多数に出す曲なんだから、誰かなんか想定しないで、ドーンと歌うんです。
―これを誰かに伝えたい、と思ったときはどうしますか?
そんなとき歌なんか歌わないよ。直接会いに行って伝える(笑)。
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カレー本を通じて読者に何かを伝えたいだなんて、おこがましい発想なのかもしれない。彼は、インタビューの中で、「いつも自分が欲しいものを形にしてきた」とも言っていた。

今回の打合せで、僕は「本を通じて読者に伝えたいこと」ではなく、「本を通じて自分のやりたいこと」がハッキリした。その結果、「この切り口でいこう」という結論を出せたのだ。ハッキリしてスッキリしたのである。そうやって前向きになれて、インタビューを読み、ドッキリしてからまたスッキリしたのだ。

2冊目の本を撮影するときは、BGMをザ・クロマニヨンズにしようと思う。

(水野仁輔)

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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると10人以上の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると600人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔