カレーのヒント 083:オニオン・コントロール・コンセプト
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カレーのヒント 083:オニオン・コントロール・コンセプト

JAZZの世界に「LCC」があるのなら、僕はカレーの世界に「OCC」を生み出したいと思った夜だった。

カレーの学校の授業で、ジャズサックスプレーヤーの藤原大輔さんと対談した。テーマは「JAZZとはなにか?」。僕は今年に入って音楽理論をかじりはじめた。ずっと前からやりたいと思っていたことをようやく始動したのだ。音楽の世界で音楽を理解するために整理された理論を学ぶことで、スパイスやカレーの世界の理論化を果たしたい。ちょっと遠回りだし音楽の素養のない僕がそれをするには何年もの時間がかかるけれど、ようやく重い腰を上げたのだ。

そんな中で、JAZZの世界ですでに確立されている「LCC」について藤原さんに話を聞いてみたかった。ジョージ・ラッセルが提唱したLCCとは「リディアン・クロマチック・コンセプト」と呼ばれる理論である。前から名前だけは知っていた。非常に難解な理論だが、習得してしまえば面白いように音楽がわかるようになるイメージ。藤原さんは、日本で数少ないLCCのコーチング資格を取得している人である。

ただ、LCCとは別にJAZZの世界にはもうひとつの理論がある。「バークリー・メソッド」と呼ばれている。これらがどう違うのかにも興味があった。ひとつはメソッドで、もうひとつはコンセプトである。

僕の浅はかな知識と理解で説明するなら、「こうすれば心地よい音楽が作れるよ」というのがバークリー・メソッド。「その音楽がなぜ心地よくなるの?」を解き明かすのがリディアン・クロマチック・コンセプト。それぞれ目的が違う。

対談(正確には東京カリ~番長リーダーも含めた鼎談)は、非常に面白く、90分間の授業でさんざん話した後に生徒さんたちが帰った後、さらに2時間以上、3人で同じテーマについて」語り合った。
その結果、僕の頭はすっきりし、いくつもの小さな発見があった。まず前提として、僕は、メソッドに近いものはこれまである程度は、提唱してきたが、コンセプトには至っていないということだった。コンセプトの入り口に立ったくらいの動きはしてきた。

具体的に言えば、カレーを作るときに有効な「ゴールデンルール」や「システムカレー学」、「デザイナカレー」などはすべてメソッドである。その名もずばり「スパイスメソッド(スパイスパズル)」や「カレーメソッド」というものも生み出して発表してきたし、いまやっている「クラフトスパイス」にしても、基本的にはすべて「いい香りを生むためのメソッド」であり、「おいしいカレーを作るためのメソッド」である。それぞれに対して「なぜそうなるのか?」というコンセプトもある程度は裏付けしている。が、LCCと呼べるものを明確に目指した取り組みにはなりきっていない。

だから、僕がいまやりたいことは、スパイスやカレーの世界にメソッドではなくコンセプトを生み出す活動なんだ、という考えがはっきりした。
そして、来年の出版を見据えて動き始めている書籍のひとつは、玉ねぎについてのコンセプトにつながるんじゃないか、とも思っている。カレーを作るときに多くの人が最も大きな関心を寄せる玉ねぎに特化したレシピ本を作ろうと動き始めている。だから、僕は玉ねぎのコンセプトを確立させたい。

名前は、ひとまず「オニオン・コントロール・コンセプト」にしようと思っている。JAZZのLCCに対して、こちらはCURRYのOCCである。それとは別に「スパイス・コントロール・コンセプト」もやりたい。SCCである。こっちは来年は難しそうだから、再来年かなぁ。

ともかく、本当に面白かったし、頭がすっきりした。そして、これから頭を悩ますことになるのだろう。それでも、今の時点では、「オニオン・コントロール・コンセプト(OCC)」を来年発表します、ということをこの場で発表しておこう。

(水野仁輔)

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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると10人以上の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると600人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔