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カレーのヒント 041:調理時間≒自由時間

「水野さんは、いつ寝ているんですか?」

これまで幾度となく質問されていることだ。
どうしてそんな疑問が出るのだろう? 僕は普段から、「忙しい」とは口にしないように気をつけているし、実際、たいして忙しくはない。でも、忙しい人だろうというイメージがあるのかもしれない。アウトプットがちょっと多めだから、なのだろうか。

「水野さんは、何人いるんですか?」

と言われたことも何度もある。
でも、本当に忙しい人というのは世の中にたくさんいて、僕なんかその片隅にも存在しないほど自由な時間を過ごしている。睡眠時間はきっちり6時間はあるし、最近なんて、8時間くらい寝ることもある。仕事は片っ端から断っていたりするので、何の予定もない日々が続くことも多いし、最近なんて、スケジュールは、延々と真っ白に近い。

「タイムシェア≠マインドシェア」だ、と昔から思っている。体は動いていても頭が別の場所へ行っていることはよくある。いいことではないが、「話、聞いてる?」みたいなことを言われることがたまにあるのは、会話しながら別のことを考えていたりするからだ。
もしも、
「マインドシェア=タイムシェア」だったら、僕は、地獄のような忙しさである。朝起きてから寝るまで頭の中はカレーのことでいっぱいなのだから。そういう意味では、映画を見ていても本を読んでいても、誰かと会話をしていても、すべてが脳内でカレーに変換されるから、実際にカレーのことをしている時間よりもカレーに関して充実する場合もある。分野は違えど、こういうタイプの人はたくさんいると思う。

結果、毎日たっぷり寝ているにも関わらず、「いつ寝ているかわからない人」というイメージになるのかもしれない。

ちょっと話はそれるけれど、ステーキを焼くとする。たとえば焼き始め15分前に冷蔵庫から肉を出して常温に戻し、5分前に塩を振るといい、とか言われている。そう聞いただけで、「焼く前に15分もかかるなんて面倒だな」と思う人がいるかもしれない。さらに言えば、調理科学の本によると、「焼く5分まえに塩を振る意味はほとんどない」とある。たとえば、厚さ2センチの牛肉なら最低でも1~2時間前に塩を振らなければ肉の中にまで塩は浸透しないそうだ。え? ステーキを食べるのに2時間かかるの? 「もう一生、ステーキは食べなくていい」と思う人もいるかもしれない。
でも、肉が常温に戻っている時間、肉に塩が浸透している時間は、僕がステーキという料理に関わっている時間ではない。散歩にでも行けばいいし、こうして原稿でも書いていればいい。これは“時間が解決してくれる”ってやつかな。ちょっと意味が違うかな……。

すなわち、カレーという料理について言えば、
「調理時間≠拘束時間」ということなのだ。ここ1カ月ほど、このことについてずっと考えていた。結果、鍋に一切、触らないでカレーを作る手法を編み出した。ひとまず、“ハンズオフカレー”と名付けた。これから試作を繰り返して完成させようと思っているが(キッチンタイマーたくさん買っちゃった)、これが成立するとカレー調理に対する概念が変わる。
「調理時間≒自由時間」になるのだから。

時間という概念は不思議だなぁ、と思う。いろいろ考え始めると、とっても面白い。
(水野仁輔)

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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると50人の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると500人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔

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