カレーの思い出 235:初めて父と会話

私は両親が若いときにできた子でしたので今思うと父親は母親と私を食べさせるので精いっぱいだったのでしょう、朝起きると父親はもう出かけていて、私が寝るときにはまだ帰ってきていない、しかも仕事が平日に休みが多かった為、一緒には暮らしていましたが、ほぼ母親と二人暮らしのような幼少時代を過ごしました。そのため父と私はお互いに接し方がわからずにほとんど会話のないまま小、中、高と年を重ね、そのまま大学へ進学するときに実家を出ました 。さすがに大人になってからは全く会話がないという訳ではありませんでしたが、お互いに照れくささがあるために母親を通しての会話が多かった気がします。
そんな私の父が先日還暦を迎えました。そこでなにか特別なプレゼントをあげようと思い、実家に自分の作ったカレーを持っていきました。カレーどころか親に手料理を食べさせるのが初めての経験でした。ちなみに辛いのが苦手な父に合わせ辛さを抑えたバターチキンカレーを作りました。昼間に持って行ったので父はおらず母親にカレーを渡しました。その日はもう夕飯の準備を済ませていたようなので明日食べると言っていました。
次の日の夜、私は一人で飲みに行っていました。そこで 母親からこんなメールが来ました。
「今夕食終わりました。鶏肉もやわらかくて、お店ができるくらいに本格的な味でビックリ!お父さんもおいしいおいしいと言って食べていました。ごちそうさま。」という内容でした。飲みながらメールを読んでいて、お店ができるくらいに~という部分は笑ってしまいましたが、お父さんもおいしいと言って食べていましたという部分を読んだ時に酒が入っていた事もあり、目頭が熱くなってしまいました。直接父と言葉を交わしたわけではありませんでしたが、初めて親子で会話を交わせた気持ちになりました。

→還暦の父へのプレゼントを手作りカレーにするとはすばらしい! しかも、その感想がまたしても母親を通じて、というのがなんともいいですなぁ!(水野仁輔)

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