カレーの思い出 242:大型バイクに革ジャンのおじいさん

夫はイギリス人で、料理好きです。以前水野さんがカレーのルーツを探りにイギリスに行かれたので何か興味深い話があるかと私も興味があり聞いてみました。彼のカレーのルーツはおじいさん。幼少期に祖父母の家で育った夫にとって思い出の料理の一つがスパイスカレーです。おじいさんは第二次世界大戦時に兵士としてインドに駐在する機会があり、その際にインド人からカレーのレシピを習ったとのこと。以来、戦後イギリス本土に戻ってからも時間があればスパイスカレーを作ってくれたそうです。
おじいさんのカレーはじっくり4日かけて作り、一度作り始めるとスパイスのいい香りが近所中に漂うのでご近所さんから「カレーのいい香りがするねぇ。またおじいさんが作ってるの?」と言われるほどおじいさんのカレーは近所で評判だったそう。ただ、とてもとても辛く、子供だった夫は毎回ヒーヒー言いながら汗をかきつつ食べ、でも、忘れられないあとを引く複雑な美味しさだったそう。そしてこのカレーと一緒にいつも食べていたのがおじいさん自家製のオニオンピクルス。これも美味しいけれど唐辛子たっぷりで子供には大人の味だったそうです。
夫が十代の頃、ロンドンの寄宿舎からハリーポッターに出てくるような駅から列車に乗り地元へ戻り、大型バイクに革ジャンのおじいさんと途中で待ち合わせ、カレーのための買い物を一緒にし、ゆっくり作る工程を楽しみながら出来上がりを楽しみに過ごした少年期の週末。彼の後悔は、再三レシピを書き残すように頼んだけれど結局なにも残さずにおじいさんが亡くなってしまったこと。それ以来、どのカレーを食べても物足りず、自分でカレーを作ってもどうしてもあの時のスパイシーで泣きながら食べたカレーの味にもう一度出会いたいと思ってしまうそうです。
ちなみに今日のカレーはコルマカレーでした。子供達はまだスパイスカレーは早いようで興味を示してくれませんでしたが、私は美味しくいただきました。おじいさんの味でなくても、夫がいつか納得するレシピに出会い、彼の作るスパイスカレーが、いつか子供達の記憶に残って忘れられない味になったらいいなぁと思います。

→そのおじいさんに会いたい。取材したい。作り方を教わりたい。そして、またイギリスに行きたい。取材のために滞在していた時期が懐かしいです。ロンドンに、住みたい。(水野仁輔)

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
7
別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると50人の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると500人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔

こちらでもピックアップされています

カレーの思い出
カレーの思い出
  • 347本
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。