カレーの思い出 294:そこはカレーじゃないんかい!
昔、会社の同僚に、「フクちゃん」というヤセ型で色の白い、1つ年下の男子がいました。殺伐とした職場でよく2人でケラケラと笑い合っていました。フクちゃんは、「カレーと言えばフクちゃん!」と言われるほど社内でも有名なカレー好きでした。当時、世の中のカレー事情に詳しくない私に、初めてCoCo壱のカレーを教えてくれたのもフクちゃんでした。今でもフクちゃんを思い浮かべると、冗談ではなく、黄色いモヤが掛かっているくらいカレーの印象が強い人でした。
ある朝、「おはようございます」と入ってきたフクちゃんの顔が、1.5倍ほどにパンパンに膨らんでいました。あまりの変わりように、声も出ず、動揺していた私。そんな私を見て、すかさずフクちゃんがひと言。
「あっ、夜中に無性に食べたくなってカステラ1本食べたら、朝こんなんなってました」
深刻さが一気に緩んで、「そこはカレーじゃないんかい!」と涙しながら大笑いしてツっこんだのは、今となっては遠い、ほのぼのとした思い出です。
→フクちゃんはいま、カレーとカステラ、どっちが好きなんだろう? 気になる!(水野仁輔)