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カレーのヒント 005:NO MSG CURRY

ベトナムにやってきた。ホーチミンで初日に2種類のカレーを食べた。ひとつは、ムスリム街でチキンカレー。もうひとつは、ベトナム料理レストランでチキンカレー(カリー・ガー)。どちらもそれなりに美味しかったが、共通しているのは、油や塩が少ないことだった。インド料理に慣れているせいか、特にカリーガーは、拍子抜けするほどさっぱりしている。後者のレストランは、NO MSG(いわゆる無化調)をうたっているが、味気ないと言えば味気ない。そういえば、東南アジア諸国は、インド周辺諸国に比べると塩味は控えめな印象がある。テーブル調味料が盛んだから、自分で味を加える前提で薄味にしているのかもしれない。とはいえ、化学調味料は欠かせないという印象もある。

そうか、もしかしたら、化学調味料を使うことで、うま味が増すから油や塩を少なくできているということなのかもしれない。

「油+塩」と「化学調味料」との関係がちょっと興味深くなってきた。そういえば、空港についてから街中へ出るタクシーの中で、僕は化学調味料について思いを巡らせていた。僕がカレーを作るときには、化学調味料やその手のものを原材料に含むアイテムは使わないと決めている。もう長いことそうやってきた。でも、完全なる“アンチMSG”というわけでもない。だったら、今度、あえてイベントで、“MSG CURRY”っていうメニューを出してみようかな。「化学調味料を使っています」を堂々と告白するカレー。ダメかな、誰も食べてくれなくなるのかな。化学調味料はこそこそ隠れて暗躍するくらいがちょうどいいのかな。

(水野仁輔)

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