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カレーのヒント 035:ビートルズでカレーを作る

カレーのことをしていて、心が躍り出すような喜びに満たされることがある。新しい仲間が増えたときやずっと楽しめる遊びを見つけたときだ。久しぶりに後者をいま、体感している。見つけてしまった気がしているのだ。

スパイスレッスンという連載で、「今でも僕は映画はDVDを買って観るし、音楽はCDを買って聴いている」と書いた。そうしたら、あるレコード会社の人がその記事を読んで、「水野さんの選曲するコンピレーションCDをスパイスとセットで販売しませんか?」みたいな話が来た。どこからどんな話につながるかわからない。そんなおかしな企画が成立するとは思えないから、まあ、それは置いておくとして、なぜ僕は音楽をCDで聴きたいんだろう? と改めて考えてみた。

昔はアナログレコードだった。数千枚以上あるレコードは10年以上前にすべて手放してしまった。が、結局、その後も僕はCDで同じアルバムを買いなおして聴いている。配信サービスは使っていない。

パッケージされた手に取れるものが好きだということもあるけれど、やっぱりジャケットを選んでライナーを読みながらアルバムの順で聴くのが好きだからだ。僕が聴くのはほとんどが1979年までにリリースされた音楽だから、そういう意味ではアナログレコードのA面~B面の順で聴くのが楽しい。作り手がその順を考えて作ったのだから、その順に沿って聴きたいと思う。

そんなこんなを考えていた時に、ふと思いついた。アルバム1枚を通して聴いたらカレーができあがっている、みたいなことは楽しそうだな。要するにCDをスタートさせると同時にカレーを作り始めるのだ。そのアルバムの曲が変わるたびに手元の鍋のプロセスも変えていく、みたいな感じでレシピを構成できないだろうか。

5月に発売する新刊『スパイスカレードリル』に“チャレンジカレー”というものがある。極めてシンプルな材料とスパイスでたった15分で抜群にうまいカレーができる、というものだが、あの材料とレシピをベースにとあるミュージシャンのアルバムを当てはめてプロセスを組み替えてカレーを作ってみようか。ひとまず、わかりやすくビートルズのファーストでトライしてみた。
結果、めちゃくちゃ楽しかったのだ。ひとり、キッチンで盛り上がった。久しぶりに声を上げながらカレーを作った。30分ほどでできあがったチキンカレーは非常においしかった。

いやぁ、この遊びは素晴らしい。ビートルズのアルバムは英国版の正式なアルバムで12枚(かな?)ある。ということは、このチャレンジカレーは、同じ材料でプロセスを変えて12回のカレークッキングが楽しめる。ビートルズが終わったら、ストーンズでやってみるか。ダニー・ハザウェイとかカーティス・メイフィールドとかもやってみるか。全体が30分ちょっとの短めのアルバムで、曲が10曲~15曲くらいあると、プロセスの割り振りも楽しめる。
こりゃ当分、遊べそうだ。ちょっと今回チャレンジした『プリーズ・プリーズ・ミー』のレシピを整理してみようと思う。

(水野仁輔)


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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると50人の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると500人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔

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