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カレーのヒント 040:「27÷5=5あまり2」みたいなカレー

とある人と割り算についてやり取りすることがあった。

「27÷5=5あまり2」という計算式についてである。彼も僕もこの式の回答は考えずに瞬時に出てくる。それをあえて、頭の中で何をしているかを議論してみたところ、全く違うアプローチをしていることが判明した。大声を上げてしまうほど驚いた。

僕……5の倍数で27に一番近い数字を予測する。
彼……27から数を減らしていき5で割り切れる数字を探す。

結果、彼とはしばらく割り算とは何か? について議論した。どちらも数学者なわけじゃないから、答えのない会話をしたうえで、この話は終わった。その後、ずっと僕の頭の中に「27÷5=5あまり2」がグルグルとし続けている。「27÷5=5あまり2」みたいなカレーの在り方ってなんだろう? と思い始めてしまったからだ。まあ、いつものことだ。

カンタンに言えば、同じ答えにたどり着くけれどアプローチが違う。このことをカレーで楽しめるんじゃないかと考える。だいぶ前から僕にはやりたいカレーの企画がある。それは、月刊『将棋世界』の連載企画のパクリなのだけれど、ある「材料」を数人のシェフに見せて、そこからどんなカレーを作るか、「作り方」を示してもらって比べる、というものだ。将棋の連載は「イメージと読みの将棋観」というもので、ある局面を数人のプロ棋士が分析する。次の一手を導き出すが、棋士によって見解が違うから面白い。

割り算カレーは、この逆ができるんじゃないか、と思った。答えは同じなのだから、たとえば、僕があるカレーを作る。数人のシェフにその完成写真を見せたり、実際に試食をしてもらったりする。その上で、「あなただったら、どうやってこの味のカレーを作りますか?」をインタビューする。

シェフによって、使う食材も調理テクニックもマチマチになるはずだ。そこにシェフ独自のカレー観が見え隠れする。だから、「イメージと読みの将棋観(将棋ファンの間では『イメ読み』と略される)」バージョンの企画と、その逆の割り算カレーの企画をすることで、カレー作りの面白さを引き出せるんじゃないか、と思った。

これは面白い、とまあ、これもいつも通り、僕は自分の中だけで盛り上がっている。たくさんのヒトに共感してもらえる予感は全くないけれど。
ちなみに、「27÷5=5あまり2」の答えを導く思考回路について言えば、僕は彼の思考に嫉妬した。27から割れるまで数を減らしていくだなんて、僕には全くない発想だ。格好いい。それに引き換え、27に一番近い倍数を探すとはなんとダサい頭の作りをしているんだろうか。カレー作りの感覚でもこういう自分のダサさを目の当たりにすることになるとしたら、それはそれでつらい企画なのかもなぁ。

(水野仁輔)


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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると50人の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると500人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔

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