カレーの授業:第23期 4限目
校長の机上に積み重なっているのは、カレー本。
ではなく、熊の本、熊の本、熊の本。
教壇から教室の後ろまで移動し、椅子に登り、手に取ったのは棚の高所に飾ってあった木彫りの熊。
熊の為なら縦横無尽に動き回ります。
熊を抱えて始まった、カレーの学校4限目。
4限目の授業テーマは、そうです、木彫りの熊です。
北海道といえばの木彫りの熊。
熊の毛を細かく彫る、毛彫りという手法とは相反する、面彫りという手法を極めた木彫りの熊作家、柴崎重行さん。
その柴崎さんの名言に擬え、
「カレーの行きつくところは塊になると思います。」
これに辿り着きたい。
と熱く語る校長。
あれこれ手を加えるのではなく、引き算の美学を極め、美味しくなりすぎないカレーを目指す。
スパイスも同じ。
あれもこれもとてんこ盛りに何種類もスパイスを入れて、良い香りが生まれるかといったらそうではない。
少ない種類のスパイスでも
スパイスの特徴を掴んで上手にブレンドすれば良い香りが生まれる。
ああ、ここで柴崎さんの木彫りの熊と今回の授業テーマであるスパイスが繋がるのですね。
そうですよ、1秒足りとも無駄話なんてしませんとも。
ただ、なるべく少ない手数、少ないスパイスで美味しいカレーを作るにはやはりちょっとした訓練が必要なのです。
校長が学生時代に行っていた訓練(その当時は訓練と思っていなかったけれど)は、
①スパイスの名前を確認して香りを嗅ぐ
②先に香りを嗅いで、後からスパイスの名前を確認する
この①と②を何度も繰り返すことなんだそう。
もう一歩踏み込んで、それぞれのスパイスの香りの分類を大別したのが、校長発案の「スパイスペンタゴン」。
こうやってスパイスの特徴を掴んで自分のものになると、途端に自分が作りたいカレーが作れるようになるとか。
さて、いよいよスパイスのグループワークの時間です。
座学が多いカレーの学校では貴重なお時間。
4人分のカレーを作る時に、合計小さじ8杯のスパイスを適正量として、ターメリック、レッドチリ、コリアンダー、クミンを順番に入れ、小さじ6まで重ねていきます。
さて、残りの小さじ2をグループごとに考えます。
その選択で人生変わっちゃうの?というくらい真剣な生徒さん達。
大丈夫、安心して。
もうあなた達の人生はこの学校に入学した時点で変わっちゃっていますから。
おっとここで、羽生さんが定刻の21時をお知らせします。
羽生さん(の目覚まし時計)に急かされながら、各グループオリジナルのスパイスミックスが完成しました。
爽やか系、香ばしい系など、最後の小さじ2が変わるだけで、こんなに方向性が違うんだもの。
スパイスっておもしろい。
スパイスパズル(写真4枚目)を作った卒業生のように、たった1人の好奇心と行動力がまわりを動かす。
そんなカレーの学校に飛び込んだ皆さん。
スパイスのように混ざり合って巻き込んで巻き込まれて、
おもしろい!と思ったことに情熱を燃やしてください。
切り口はカレーじゃなくてもいいんじゃないかな、
熊でも、羽生さんでも、山手線一周でも、ね。