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カレーのヒント 019:撮られた写真を撮る

現在開催中のやんばるアートフェスの展示を観に行った。来月、このフェスのファイナルでカレーを作りにいくことになっているため、ロケハンを兼ねていた。熱帯植物園(だったかな)の中にある写真の展示に目を引かれる。青空に洗濯物のようにつるされた大型の写真がどれもいいのだけれど、特にトンボの写真が目に留まった。トンボの止まる葉の裏にクモがいる。シンメトリーな構図になっていて面白い。思わずスマホを出して、撮った。

そのとき、「あれ、変だな」と思ったのだ。

写真家さんが撮った写真を僕が撮ったのだ。

これをカレーに置き換えたら……。誰かの作ったカレーを(使って)僕が新たなカレーを作る。もしくは、僕が作ったカレーを(使って)誰かが新たなカレーを作る。そう、それは、いま僕がやろうとしていることと同じだったのだ。ニハリというインドやパキスタンで食べられている濃厚なカレーに注目している。おいしいけれど、日本人には濃すぎる。このカレーを原液のようにして、これを完成品として食べずにあえてベースとして利用しながら別のカレーに仕上げることができないか、と考えているのだ。

僕がカレーを作る。それは食べるためのカレーではない。次に誰かがカレーを作るためのベースのカレーを作るのだ。作ったカレーを使ってカレーを作りなおす。そのためには、このやんばるアートフェスでのひとときのように、思わずスマホを取り出したくなるような魅力的な写真がなければならない。思わず誰かの手が動いてしまうようなおいしく濃厚なカレーを僕は考えださなければならないのだな、と沖縄で思った。

(水野仁輔)

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別名“カレープレーヤー”養成所。入学すると50人の仲間(同級生)に出会える。授業に出るとカレーの未知なる魅力に翻弄される。卒業すると500人以上の仲間(卒業生)ができる。つまり楽しい日々はずっと続く。そして校長の僕は取り残されてちょっぴり寂しくなる。そんな学校です。水野仁輔

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