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カレーのヒント

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水野仁輔が日常生活のふとした体験の中から、カレー活動のヒントになりそうなものを見つけて、思いのままに綴っています。日記みたいなもの?
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2020年8月の記事一覧

カレーのヒント 056:スパイスバルーン

カレーのヒント 056:スパイスバルーン

ポッドキャストのラジオ番組を始めた。「水野仁輔のスパイスバルーン」という。ゲストは毎回、メタ・バラッツという男で、東京スパイス番長というインド料理探求集団のメンバーである。
番組の中でも話しているが、ラジオを始めることにしたのは、バラッツのインド小噺がとっても面白いからだ。この面白さを自分が独り占めしてしまうのはもったいない。そう思ったのは、7年ほど前のことだった。
バラッツはもうすっかり人気者で

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カレーのヒント 055:自分には縁がない

カレーのヒント 055:自分には縁がない

将棋棋士の渡辺明二冠が初の名人位を獲得し、三冠となった。おめでとうございます。

第6局の行われた2日間は、第5局まで同様、目が離せなかった。名人位というのはほかのタイトルとは圧倒的に格が違う印象がある。現在の将棋界で多くの人が“実力トップ”と信じている渡辺二冠だが、名人挑戦は今回が初めてだった。僕は渡辺さんの熱狂的なファンというわけではないが、名人になってほしかった。渡辺さんの将棋は名人にふさわ

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カレーのヒント 054:アレ・ブレ・ボケ

カレーのヒント 054:アレ・ブレ・ボケ

大学時代、写真家・森山大道のファンだったのは、「アレ・ブレ・ボケ」というキャッチーなスタイルに惹かれていたからだ。そこからルーツ(?)をたどってウィリアム・クラインの『NEW YORK』を買ったり、雑誌『プロヴォーク』関連の写真家たちの動向を追いかけたりした。

東京都写真美術館へ森山大道を観に行った。これまでもちょくちょく追いかけて見に行ってはいるけれど、相変わらずスタイルは変わらない。モノクロ

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カレーのヒント 053:カレーの教室、始めます。

カレーのヒント 053:カレーの教室、始めます。

料理教室の講師をお願いされたとき、必ず主催者に確認することがある。

「ホワイトボードは使えますか?」

たいていの場合、戸惑いの反応がかえってくる。会場にあれば問題ないが、ない場合はできるだけ手配してもらう。戸惑いの理由はホワイトボードの手配が困難だからなのではなく、料理教室でなぜホワイトボードが必要なのかがすっと理解しにくいからだ。何度かこう言われたことがある。

「料理教室でホワイトボードを

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